ともに―吃音と生きる―(体験談)

小中高校生の吃音のつどいスタッフが、中学生の時に、地元の中学生弁論大会で発表した原稿(学校代表として発表)を紹介します。
クラスの友達に吃音の説明をする時のいい参考になるでしょう。

「ともに ―吃音と生きる―」

原 空留未(くるみ)(当時中学2年)

2009年1月8日 小平市教育委員会主催 小平市中学校生徒意見発表会 

於 小平市民文化会館

 皆さんは「吃音」というものをご存知ですか。吃音とは言葉がうまく出ず、どもってしまうことです。言葉の最初の音が何度も繰り返され、次の言葉が出て来なかったり、声そのものが出ない場合もあります。私はその吃音を持っています。発表する時も、他の人の様にスラスラと発表できるわけではありません。一生懸命話しているのに、笑われる事もありました。
 私が日常でよく困る事はお礼を言う時です。友達からプレゼントを貰った時、「ありがとう!とっても嬉しい。」と、すぐに言いたい喜びの表現が声にならず、黙ってしまいます。私の反応を見た友達が、「ごめん。嬉しくなかった?」と聞き返してきます。そんな時、内心(とても嬉しいのに感謝の気持ちも表現できないなんて……)と、自分に腹が立ちます。もし、吃音の事を知ってくれている友達だったら(今は、声が出ないだけなのかな)と、考えてくれるかもしれません。しかし、吃音を知らない相手の場合、(プレゼントを貰ってお礼も言えないの)と思われる様な気がしてとても情けなく、申し訳ない気持ちです。
 その他に困るのは授業中です。授業中に意見を発表する時があります。そんな時も、やはり吃ってしまいます。内容はまとまっているのに声が出ない。話したいことは出かかっているのに音にならない。私の中には言葉がつまっているのに……。時間だけが過ぎてゆき、半分ほど発表し終わったところで、先生に結論をまとめられてしまいました。私が言いたい事はそんな事じゃなかった。言葉が出てこないと、意見もまともに伝わらない。先生に意見を勝手に変えられてしまった事がとても悔しかったし、「違います。」という言葉も出てきませんでした。何故、いつも私だけ上手に話せないのだろう。友達は、話すことに何の苦しさも感じないで楽しそうなのに……。治す方法は無いものか。と、悩む一方でした。

 そんな私を心配して、昨年の夏、両親が専門の病院に連れて行ってくれる事になりました。そこで初めて「言語聴覚士」の先生に出会いました。先生は、「治す事より、これから吃音とどう付き合っていくかを考えよう」と言いました。そして、吃音者で作られているグループ、「小中高校生の吃音のつどい」を紹介してくれました。発表するのが苦手な私でも、その会の中では気が楽でした。お互いに声が出ない苦しみを知っている。吃っても、皆が静かに次の言葉を待っていてくれる。「大丈夫だよ。」という視線が私を包んでくれる。自分一人が悩んでいる訳ではないのだと気づき、私の中でつっぱっていたものが溶けていくような気がしました。(←昨年度2008年3月のお料理教室のつどいでのこと)

 吃音との付き合い方は人それぞれですが、私は周囲の人達に、吃音というものを知ってもらうことが大切だと思っています。吃音がどういう症状か。吃音者に対してはどう配慮したら良いのかを多くの人に知っていてもらいたいのです。
 吃音者の中には、「吃音である自分を認めたくない。」「周りに知られたくない。」という人が多いです。告白するにも、他人の反応が気になり、簡単にはできません。しかし、吃音の知識や、吃音者に対する理解が、社会全体に広がり深まってくれば、告白の必要も無くなります。私の場合は、担任の先生や顧問の先生に手紙を書き、理解を求めました。先生から、クラスの皆に伝えてもらい、私も気持ちが楽になりました。

 皆さんの周りに、もし、私と同じような吃音者がいたら、最後まで話を聞いてあげてください。からかったり、途中で聞き飽きて結論をまとめてしまったりするのはやめてください。ほんの少しの間、待っていてくれるだけで良いのです。

 「吃音者は、百人に一人いる。」と聞きました。自分だけでは無かったという、安堵感を覚えるとともに、私と同じように悩んでいる人が、世の中に沢山いる事実を知ったのです。
 今は、言語聴覚士や小中高校生の吃音のつどいの人達のように、吃音者の役に立てるような大人になれたらいいなと思っています。将来の仕事として言語聴覚士を目指す事も考え始めました。そのためには、何よりも自分が吃音に対するコンプレックスを克服する事が大切だと思います。この発表会に出る事も、私の中では大きな階段を一つ登る気持ちでした。自分に与えられたチャンスに挑戦し、積極的に話す事に向かっていこうと思います。そして「自分なりの吃音との上手な付き合い方」を見つけていきます。そして、吃音とともに、周りとともに、吃音を持っている自分とともに、生きていこうと思います。

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